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The Archive

2002/11/22


90年代末に続々と創刊されたTechnology Businessに焦点を絞った雑誌が廃刊などで勢いをなくしていく中で、Foretune誌(週刊)のテクノロジー関連記事は相変わらず充実している。しかも雑誌のアーカイブも充実していて、サーチしなくても、あれこれブラウズできる。

たとえば最新号(11/25号)だけで、ソニーの記事ソフトウェアの最近の話題ベンチャーキャピタルの最新動向Wi-Fi、つまり無線LANの米国での普及状況生鮮食料品のネット販売・FreshDirect社の記事、がある。

一つ前の週の特集号(11/18)からは、HPのフィオリーナ会長の最近の話題が読める。またもう一週前の11/11号のインテル特集、 Intel's $10 Billion GambleAs Moore's Law GoesHow Intel Took Moore's Law From Idea to Ideologyは特に力が入っている。

商業誌を一冊だけ決めて米国テクノロジービジネスの最新動向を定点観測するには、いまのところ、Fortuneのサイトがベストだろう。

2002/11/20


ネットスケープ創業者、マーク・アンドリーセンのインタビュー「Talking innovation with Marc Andreessen」(ボストン・グローブ紙)が面白い。かの若きアンドリーセンも、もう31歳かぁ。

このハイテク不況の中、重要なイノベーションは進行中と思うかという質問に、アンドリーセンは
「There's actually a lot of innovation going on, all stuff that's very, very practical. And a lot of it has to do with things that are being commoditized. So it's innovation that is very good for customers, not necessarily so good for a lot of the vendors, which is one of the reasons you don't read a lot about it.」
と答える。ロバート・ライシュの言う消費者天国・供給者地獄の感覚からあまり変化はない。インターネット、IT産業は確実に成熟化したのである。

「Where might future innovation come from?」という最後の質問には、シリコンバレーらしいオプティミズムで答えているが、具体的な「次なるWHAT」についての提示はない。今キーワードとして上がっているアイデアのすべてがNEXT BIG THING足り得ないというのが彼なりの判断なのであろう。その点については僕も同感である。

2002/11/18


エルピーダメモリ(NECと日立が分離したDRAM事業の統合会社)は坂本幸雄新社長のもと再生を果たすと、僕は思う。

僕はNECの経営諮問委員をやっているから、NECに関することについては何を語っても利害相反の可能性がつきまとうのであまりコメントしないことにしているのだが、このことだけは個人的な意見と付してでも、あえて書いておきたいと思う。

同社サイトの「坂本社長 就任ご挨拶」や、同社サイトの「役員の異動について」を読むと、社長が変わり、ガバナンスが変わり、戦略と戦術が変わっていくさまがよくわかる。

しかし、本当に面白いのは、ネットでは読めないが、日経ビジネス11月11日号の坂本社長インタビューである。このインタビュー記事はぜひ全文を読んでほしい。あまりたくさんの引用は差し控えるが、

「日本の総合電機メーカーが負けているのは、経営幹部がやるべきことをやっていないからだ。」

「総合電機が競争力を失った大きな原因は、部長以上の幹部連中が現場に出なくなったことにある。営業、設計、製造、それぞれの現場に経営者はほとんど足を運んでいない。」

「半導体製造の現場でも同じ。工場長でさえ生産現場に行かず、カラオケとゴルフと宴席が仕事になっているというケースがある。大手の電機メーカーの工場は、本社で「上がり」になった人が行く場所になっている。これで世界に勝てるはずがない。」

「社長に就任するに当たって私のビジョンと方針をまとめ、10月中旬ぐらいにエルピーダの役員に渡して意見を求めたのだが、2週間経った11月1日時点でまだ返事がない。「こういう方針を実行するのなら辞めたい」という人もいるらしい。そういう人は辞めてもらったらいい。」

「意識改革のためには、組織を変えるしかない。既にエルピーダの組織改革の構想は練り上げてある。詳しくは言えないが、びっくりするような内容だ。できるだけ早く実行に移す。」

「エルピーダに関しては1年で具体的な成果、つまり利益を出せないようならその先の見込みはないと思っている。遅くても2年後には世界シェアでトップ3に食い込む。これを達成できなければ、私の能力がなかったということ。その時には自分自身の判断で身を引くつもりだ。」

「日本のDRAMの火を消さないためにも、燃え尽きるまで力を発揮してみたい。」

明快である。

改めて、坂本新社長のリーダーシップにエールを送りたい。

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